泊まりで東京に行ってきた。こうなった詳しい経緯は省くが、知らない土地を歩くという行為は脳を活性化させる。

宇都宮市の東側に住む皆様には、泊まりで東京に行く際は小金井駅をおすすめしたい。小金井から宇都宮線に乗るメリットはいくつかある。
一つ目は、駐車場が安い。小金井駅東のタイムズなら24時間で500円、24時間以降も1時間あたり100円という破格の安さだ。宇都宮駅周辺では考えられない。
二つ目は、宇都宮市の東側からのアクセスが良い。宇都宮駅から小金井駅まで新4号国道経由で30分程度だ。さすがに電車よりは遅いが立体交差の多い新4号国道はストレスがない。
三つ目は、小金井発の電車に乗れること、および小金井止まりの電車に乗れること。宇都宮行きの電車に混じって古河や小金井止まりの電車があり、小金井止まりの電車にも喜んで乗れる。
宇都宮まで行きたいのに小金井止まりの電車に乗った場合、小金井またはそれよりも前のどこかで後から来る宇都宮行きを待つ不毛な時間を過ごすことになる。
宇都宮から小金井まで決して近い距離ではないのだが、以上のようなメリットがあるので小金井まで車で向かった。

湘南新宿ライン・逗子行きに乗って東京方面へ。湘南新宿ラインの快速は昼のみのようだ。鈍行なので小山から大宮までが長いが、小金井からだと宇都宮からより遥かに近く感じる。
このままだと新宿・渋谷方面に行くので、宇都宮線・上野東京ラインに乗り換えるために浦和で降りた。ここで高崎線系統の上野東京ラインに乗り換えて上野・東京方面へ。

上野からは地下鉄で海の方に向かう。ターミナル駅は広いのでとにかく歩く。地方都市に住む人より遥かに歩いていると思う。こちとら歩いて5分のスーパーですら車で行ってしまう。

上野から東京メトロ銀座線で渋谷方面へ。プラットホームがモダンな造りで美しかった。宇都宮線のむき出しのホームとはわけが違う。

東京メトロ東西線に乗り換えて西船橋方面へ。宿すら決まっていない状態で電車に乗り、しっかり考えて疲れて最終的には適当に選んだ宿が西葛西だった。
西葛西のある江戸川区は東京の外れの方というイメージだが、都心部へ通勤する人のベッドタウンのようで人口密度は宇都宮市の10倍だという。

コンビニで夜食を買ってチェックインした。エレベーターに乗る際にもカードキーを要求されるセキュリティの高さに驚いた。
時期柄か土地柄かそういうものか分からないが、一泊した中で日本人とすれ違ったのは一度きりだった。まるで海外の宿に泊まっているかのような気分になった。
部屋はミニマムなレイアウトだが寝るだけのためなら十分だった。自分は枕が変わっても余裕で眠れる人間であることが分かった。

翌朝、西葛西駅近くのドトールにお邪魔した。宇都宮のドトールは普通のコーヒーが300円だったと思うのだが、西葛西のドトールは280円でコーヒーが飲めた。

ここから電車旅の第2部だ。東京メトロ東西線で日本橋を通り過ぎて九段下へ。九段下では案内表示に東京メトロ半蔵門線の東武日光線直通南栗橋行きがあって故郷が目に浮かんだ。
東武宇都宮から浅草方面に行くには以前は絶対に新栃木・栃木で乗り換えがあったのだが、今は東武宇都宮から南栗橋まで乗り換えなしでそのまま行くことができる。
その結果、東武宇都宮から中央林間まで乗り換え1回で行くことができるのだ。中央林間行きは押上から東京メトロ半蔵門線、その先の渋谷から東急田園都市線に直通する。
上野東京ラインで宇都宮から熱海まで乗り換えなしで行けるのと同じくらい驚きだ。その分どこかで遅延した時のダメージも大きいが。

都営新宿線で市ヶ谷へ。2〜3分ごとに駅に止まるので地方都市のバスに乗っているような感覚になる。当たり前だが駅によって乗り降りする人が全然違うのもおもしろい。

市ヶ谷駅から坂を登って「東京油組総本店 市ヶ谷組」へ。総本店と付いているが全ての店に総本店と付いているので本当の総本店がどこにあるのか分からない。
鶴田に宇都宮組がオープンした時は大きな話題になった記憶がある。確か最初の数日は一杯500円で食べられたので大行列ができたとか。

160gの並盛りから320gのW盛りまでどれも同じ880円だ。麺量にかかわらず同一料金の表示を見るたびに自分の少食具合に悔しくなる。
温玉を割らずに食べると醤油がキリッと立った鋭い味わい、温玉を割って食べると優しくまろやかな味わいになる。油そばという名前に反してスープがない分かなりヘルシーらしい。
食後に半蔵門駅まで歩いて、また市ヶ谷駅に戻ってコーヒーを飲んだ。カフェがいくらでもあるのにどこもほぼ満席だった。カフェに入るだけで歩き疲れるという新鮮な体験。

東京は情報量が多い。人が多い、車が多い、店が多い、看板広告が多い。普段浴びない量の情報を受け取ると脳は混乱する。「あやしいひかり」を受けたポケモンのピヨピヨ状態だ。
東京メトロ南北線で王子に行き、京浜東北線で乗り換えてさいたま新都心へ。大宮はターミナル駅なので混雑しているが、一つ隣のさいたま新都心は大宮ほどは混雑しない。
さいたま新都心にはコクーンという商業施設があり、そこに入っている書店がストライクゾーンのど真ん中だったので数ヶ月ぶりに訪れた。
商業施設巡りには必ず本屋巡りがセットなのだが、入ってすぐの一等地に何が置かれているのか、それぞれのジャンルにどのくらい面積を使っているか、店ごとに違って楽しい。

そして京浜東北線で大宮へ。さいたま新都心からでも宇都宮線・上野東京ラインで小金井に帰れるのだが、快速に乗るためにわざわざ大宮に行った。
湘南新宿ライン、湘南新宿ライン快速、そして宇都宮線快速ラビットはさいたま新都心を通過する。そう考えるとさいたま新都心に行くのは少し面倒に感じる。
宇都宮線快速ラビットは大宮を出ると、東大宮、蓮田、久喜、古河、小山、小山から終点までの各駅に止まる。怖いほど飛ばす上野発の通勤快速は2021年3月のダイヤ改正で消滅している。
東武日光線と接続する栗橋に止まらないのはなぜだろうか。いずれにしても現状の快速ラビットでも大宮〜小山間は十分に速い。
余談だが宇都宮線の快速には「ラビット」という愛称が付いており、英語表記だとRapid Rabbitとなる。高崎線の快速「アーバン」の方がクールだと思う。

小金井から乗る最後のメリットは、快速のいいとこ取りができることだ。各駅停車になった後の最初の駅で降りることで、快速のメリットを最大限享受できるような気がする。
大宮から小金井までずっと立っていたが、猛スピードで駅を通過する様子は見ていて楽しい。そして、大宮〜宇都宮に比べて大宮〜小金井は格段に近い。

すかいらーく系の「夢庵」という店がずっと気になっており、その「夢庵」が小金井駅前にあったので立ち寄った。すぎのやとばんどう太郎を足して割った感じだと思う。
平日の夜で店内はガラガラ、お好きな席をどうぞと。ここで私は栃木に帰ってきたことを強く実感した。この人口密度が心地いいのだ。
座席は半分も埋まっていないし、料理を頼んだらすぐに作ってくれる。外を見ると車は全然走っていないし、歩いている人も全然いない。
都会も田舎もどちらも良い。普段田舎にいるから都会の賑やかさを感じられるし、都会にいたから田舎の静けさをいつも以上に感じられる。
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